音声を超えて
Voice & Beyond(音声そしてその先へ)
最高の車内体験は、車との対話を人間との対話に近づけるものであり、音声、視線の動き、そしてジェスチャーが会話の一部となるような多感覚他間隔体験です。
さらに、ボタンの数が最小限に抑えられ、テクノロジーが主役となる未来の車では、このようにシンプルでシームレスなインタラクションがこれまで以上に重要になります。
当社は、何十年にも渡る音声認識の専門知識を基盤として、新たな知識の時代に入ってきています。音声に加え、視線、ジェスチャー、さらには手書きなど、車内アシスタントとの対話は次のレベルに進化し、車内で外の世界とやり取りできるようになっています。コーヒーショップを見ながら「あの店には Wi-Fi がある?」と尋ねてみましょう。ジェスチャーを使用して、ターンバイターンナビゲーションをフロントガラスの目の高さに合わせてみましょう。指先でメッセージを書いてみましょう。緊急車両が近づいてきたら仮想的に肩をたたいてお知らせします。これは友だちと話すように車とコミュニケーションができるマルチモーダル体験の一部なのです。これはすべて、ドライバーが友人と同じように車と通信できるようにするマルチモーダルエクスペリエンスの一部です。
将来的には、音声だけではなく、安全で生産的で楽しい環境を提供していくことが重要です。未来の話だけではなく、当社が実現を目指している世界です。
車のライトをオンにしたり、トランクを閉じたり、駐車したりなど、すべて声だけで実行できることを想像してみてください。ハンズフリーで操作でき、最高の信頼性とセキュリティを備えています。
Cerence Exterior Vehicle Communicationは、まるで未来の世界のようなインタラクションを実現します。AIと音声を利用したこのイノベーションは、音声認識、自然言語理解、テキスト読み上げ、音声シグナルエンハンスメント、音声バイオメトリクス(生体認証)を今日の自動車で増え続けている外部マイクと組み合わせて、ドライバーが車外にいても車とやり取りできるようにします。
Cerence Exterior Vehicle Communicationは,現在の自動車所有者にとって非常に便利であり、将来の自動運転の自動車をシェアする場面においても重要な機能です。例えば、ユーザーは、シェアライドする自動運転車の計画されたルートや予想される遅延などを問い合わせることができます。
Cerence In-Car Communications(セレンス・インカー・コミュニケーション)
車内はうるさくなることもあります。道路の騒音から使用中のエンターテインメント、助手席のおしゃべりまで、過剰な騒音は車内アシスタントだけでなく、ドライバーと同乗者の間の会話の邪魔になる可能性があります。同乗者は大声で話し、ドライバーは後部座席の人に話しかけるために振り向いたりして注意散漫になり、運転時において安全性が損なわれます。
Cerence In-Car Communication (ICC) は、Cerence Audio AIスイートの一部であるICCが、インターコムによるドライバーと同乗者間の車内での会話の音声品質と明瞭度を向上させます。2列以上の座席があるミニバスやバンなどの大型車両に最適なICCは、特別に配置されたマイクからドライバーの音声を拾い、処理してクリーンアップし、後部座席にあるスピーカーから再生します。これらすべては瞬時に処理されます。
Speech Signal Enhancement(音声信号エンハンスメント)
理解してもらうには、まず話を聞いてもらう必要があります。そのため、Cerence Audio AIスイートの一部であるCerence Speech Signal Enhancement (SSE) は、当社のプラットフォームの重要な部分です。
SSEは、マイクで入力された音声からノイズを除去し、当社の世界最高水準の音声認識エンジンと自然言語理解エンジンに、ドライバーや同乗者の極めてクリアな入力を供給する音響信号処理技術です。車内体験に不可欠なSSEは、電話の通話品質を向上させ、ドライバーがウェイクアップワードを効果的に使用し、シームレスにアシスタントに割り込んで対話できるようにし、誰が話しているのか、どの音声をはミュートする必要があるかをアシスタントが正確に把握できるように対象話者のゾーンを決めることができます。
今後、SSEはさらに重要になっていきます。乗客が複数いる自動運転車をシェアする場合を想像してみてください。SSEによって、各々の乗客が混乱や中断なく車両と対話ができるようになります。
Multi-Zone Intelligence(マルチゾーン・インテリジェンス)
Cerence Audio AIスイートの一部であり、Speech Signal Enhancement (スピーチ・シグナル・エンハンスメント) とともに活用される当社のマルチシートインテリジェンス技術により、車内の誰もが干渉や中断を心配することなく車内アシスタントと対話できるようになります。
ディープニューラルネットベースの優れたノイズ抑制機能によって、最大30個のマイクを使い、最大8つのゾーンをサポートするという新次元のハンズフリー通話を実現します。また、柔軟なゾーン選択と複数ゾーンの調停機能をもつ最大16の設定可能な音声出力チャネルを規定でき、Cerence Assistantと複数のサードパーティアシスタントの両方をサポートできます。車内アシスタントとのインタラクションにとどまらず、ドライバーが自動車内で電話をかける際の理想的なソリューションを提供し、ビームフォーミングと同乗者の干渉制御技術を組み合わせることで、他のゾーンからの干渉音声を完全に抑制できます。電話会議中に動的にゾーンの有効・無効を切り替えることができるため、まったく新たな車内通話体験が可能になります。
当社の調査で、車載テクノロジーが将来の運転体験をどのように改善できるかを尋ねたところ、回答者のおよそ半数はストレスの多い運転状況でより優れた支援を求めていると答えました。Cerence Emergency Vehicle Detection(セレンス緊急車両検知:EVD)が正にそれに該当し、車内アシスタントと連動してパトカー、救急車、消防車の接近をドライバーに警告し、その状況に応じた運転に備えることができます。
Cerence EVDは既存のマイクを使用して、さまざまな緊急サイレン信号とその発信方向を正確かつ確実に認識します。サイレンが識別されると、ラジオや他のメディアの音量が下げられ、ドライバーはヘッドユニットを介する視覚的に警告、車内アシスタントのオーディオによる警告を受けることができます。
運転中は緊急車両に道を譲ることが多くの国の法律で義務付けられており、自動運転車は緊急車両を検出して反応することも求められています。Cerence EVDはこれらの規制に対処し、将来の自動車にとって重要なものとなります。
Gaze Detection(視線検出)
Cerence Look(セレンス・ルック)は、モビリティアシスタントに助手席に座った人と同じような直観的サポートを与えるものです。ドライバーと同乗者が車外の興味があるもについて対話できるよう設計されています。新しい環境を再構築し、既存のハードウェア、車のセンサーデータを使用して、Cerence Lookはルート上の興味があるポイントに関する情報をアシスタントに提供するので、ユーザーが手動で情報を検索する必要はなくなります。ドライバーは、店舗、レストラン、カフェ、ホテル、ランドマークなどを見るだけで、連絡先情報、営業時間やレビューを取得できます。たとえば、コーヒーショップを見て「あのレストランの名前は?」と尋ねたり、「左側にあるカフェは何?」 と尋ねたりできます。
これは、過去に見聞きしたことを話してくれる友人のようなものです。高度なGPSと百科事典のような知識を持ち、あなたの習慣や嗜好もことごとく記憶しているアシスタントです。
テキスト入力において長い歴史を持つCerenceは、モビリティアプリケーション向けのアイコンともいえるCerence Swype (セレンス・スワイプ) キーボードを提供し、ドライバーと車がシンプルかつ直感的にやり取りできる幅広い入力オプションを実現しています。
デジタルカーの新時代では、Cerence Swypeを使用すると、ドライバーは文字を簡単に入力できます。この製品ラインアップには、従来の「スワイピング」方式 (ドライバーが1つの文字から別の文字へと1つの連続した動作で指をスライドさせる) のほか、手書き認識と従来のキーボードタイピングが含まれます。Cerence Swypeをモビリティ設定に適用すると、住所の入力、POIの検索、車の機能へのアクセスなど、強力なツールとなり、車内アシスタントとの安全で迅速なインタラクションを可能にします。Cerence Swypeは、今日の自動車で一般的なタッチスクリーンとタッチパッドでの操作用に最適化されていて、スクリーンに対するドライバーの位置に基づいて必要な調整が行われています。
この技術を自動車に導入し、Cerence Swypeを搭載した1500万台の自動車がすでに路上を走行している中で、当社はOEMが求めているスマートフォンのような体験を自動車とドライバーに提供することに取り組んでいます。
Biometrics(バイオメトリクス)
エンタープライズレベルの音声バイオメトリクス(声の特徴に基づく個人の識別と認証) により、高度なレベルのパーソナライズ機能とセキュリティを提供します。音声バイオメトリクスにより、車内アシスタントは誰が話しているかを理解し、個人プロファイルを読み込んで、音声による購入を承認することができます。
パスフレーズを話すことで、Cerence Driveはユーザーの個人プロファイルを読み込んで、音楽、特定のナビゲーションルート、渋滞を回避する方法など、ユーザーの好みに基づいたコンテンツと情報を提供します。シートの位置と温度を保存された好みの設定に調整することも可能です。ユーザーの声がすべての“鍵”となるのです。